幸せカタラーナの素材へのこだわり
当店の幸せカタラーナを食べた方からは、よくこのようなお声をいただきます。たいへんありがたいことに、少しずつではありますが幸せカタラーナの美味しさが評判になりクチコミや紹介などでお買い上げいただくお客様も増えてまいりました。
本当にありがとうございますm(_ _)m
今でこそ、このように言っていただけるようになってきた幸せカタラーナですが、「今まで食べたカタラーナと違う」と言われる美味しさにはほんのちょっとエピソードがあります。
なので、ここでは少しだけそのお話をさせていただこうと思います。
幸せカタラーナというスイーツで、一番何にこだわりましたか?と聞かれれば、まっさきに答えるのが「牛乳」です。なぜなら日本で市販されているカタラーナの多くは、主に生クリーム・砂糖・卵・バニラビーンズという原料から作られており、牛乳を製品全体の約30%も使っているカタラーナというのは、たぶん幸せカタラーナぐらいだと思います。
じつは私の妻が昔からカタラーナが好きだったようで、その妻が私へのお土産に買って帰ってきてくれた時に食べたのが私とカタラーナの出会いです。
最初のひと口食べた時、その濃厚な美味しさにとても感動したことを今でも覚えています。ところが生クリームがメインのスイーツですから、食べ進めるにつれて、どうしてもこってりと重い感じがあり少量でおなかいっぱいになってしまいました。
どうにかして、このこってりとした濃厚な美味しさを残しながら、もう少し量を食べられるようにならないだろうか?と考えた時に思いついたのが牛乳でした。そこからは北海道中の牛乳を調べ、牧場へもかなり通いました。そんな中で出会ったのが十勝しんむら牧場だったのです。
誰もが安心して飲めるおいしい牛乳を作りたい。そんな願いのもと、十勝しんむら牧場が取り組んでいるのが、牛本来の姿である放牧酪農でした。放牧の際に牛のエサとなるのは、牧場に生えている草。
いい牛を育てるためにはいい草が不可欠であり、いい草を育てるためにはいい土が不可欠。しんむら牧場では、酪農において土づくりを最も大切に考えておられたのです。
土づくりへのこだわり。
これがまたすごいレベルで・・・
約80haすべての畑のサンプルをアメリカの専門機関に送り、土壌分析を実施しています。ニュージーランドのコンサルタントDr.エリック川辺氏に依頼。その結果に基づいた施肥設計によって土中のカルシウム、マグネシウム、窒素、微量要素などのバランスを調えていきます。
もっとも、長年化学肥料を施された土は微生物やミミズも住めない弱い土になってしまっているため、土のバランスがよくなるまでには3~5年もかかります。
忍耐を要する作業ですが、土が本来の力を回復してくると微生物や昆虫が増えて生態系が整い、牛糞の分解も活発になります。
そして分解された栄養素を草が効率よく吸収し、健康でおいしい草が育っていきます。このように土壌分析と生態系の循環を利用して、土の力を取り戻しているんです。
十勝しんむら牧場の牛は、搾乳のとき以外は年間を通して1日中放牧されています。冬は、フリーバーン式の仕切りのない牛舎で畑にも自由に行き来でき、牛は冬でもほとんど畑に出ています。
狭い牛舎につながれるストレスもなく、おいしい草を体が必要とするだけ食べて、広い大地でのびのび育った牛たちの体は引き締まり、表情もおだやか。心身ともにすこやかなようすがひと目でわかります。
いい草を食べている牛の生乳は、味が違う。これがまさにカタラーナの美味しさにつながる部分。
十勝しんむら牧場では、牛が食べる量と草が成長するスピードに配慮して放牧地を区分けし、順次牛を移動させていく「集約放牧」を実践しています。
これにより放牧シーズンを通して草の量と品質を全体で均一に保つことができるので、牛が好んで栄養価の高い草を多く食べるようになり、その分輸入穀物を減らすことができます。
いい草をたっぷり食べている牛から搾った生乳は余計な雑味脂肪が邪魔をせず、さらっとした飲み口で後味はすっきり。その味の差は歴然としています。
より自然に近い環境で育った牛から搾った牛乳は、まさに自然そのままの味。季節や天候によって草に含まれる栄養分が変動するのに合わせて、牛乳の色や栄養組成も変化します。
たとえば夏の牛乳は青草に含まれるビタミンやβカロチンが増えるため、黄色がかっているのが特徴。脂肪分3.5~3.7%ほどでさわやかな味わいです。冬は脂肪分4.2~4.5%ほどになり、まろやかでクリーミーな味わいになります。
こうした牛乳本来の風味を損なわないよう、十勝しんむら牧場では65.3℃30分の低温殺菌処理をしています。ホモジナイズ処理(脂肪球の破壊)をしていないため、脂肪分が浮いてくるのも自然なおいしさの証。
あ、余談ですがここだけの話をします。
十勝しんむら牧場の牛乳を使わせて欲しいという話をした時のことです。牧場に落ちている牛のフンを手で持ってニオイを嗅いでみてって言われました。
「えーーーーーーーっ」 ← 心の声
心の中ではこうやって叫びましたが、言われるがままに手に取りクンクンしてみました。
「あれ?ニオイがない」
で、かなり鼻を近づけてみると・・・
本当にほのかに香る程度。これが土作りにこだわった牧場でのびのびと育っている健康な牛のフンのニオイだよということを教えていただいたエピソードでした(笑)